■ 火災について
レーザー加工機のレーザー光は目に見えず、音もしません。
また、正しく運用されている限り、消炎装置があるため一般的に炎や火花を目にすることはなく、また、周囲環境の室温が暑くなることもありません。
慣れてくると、熱エネルギーの作用によって加工を行っているという基本的事実を失念しがちです。
しかし、
レーザー加工には常に火災のリスクが伴っています。
この事実を決して忘れないでください。
■ 火災の発生
たとえば、紙や布のようにとても燃えやすい素材を加工する際は、ほとんどの場合、火災に対する注意をすることでしょう。
しかし、火災が発生しないと思われる素材、状況で発生します。
● 火災発生事例
厚物のアクリル板を高出力、低速で切断加工中、レーザー加工機のそばを離れていた。しばらくすると、レーザー加工機から炎が上がっていた。
この事例では、レーザー加工中の火災の発生における特徴的な事象が表れています。
- 一般的にアクリル素材は、燃えやすいという認識がありません。溶ける、というイメージがあり、燃え上がるというイメージはあまりありません。しかしアクリルも石油由来の素材であり、燃焼します。アクリルに限らず、レーザー加工機で加工可能な素材は炎が上がる可能性があることを知っておいてください。
- 高出力、低速で加工する場合、単位面積あたりの熱量が非常に大きくなります。加工開始当初は問題がなくても、しばらく時間が経過した後に素材が突然燃焼し始めるケースがあります。エアー噴射による消炎装置も、その効果には限界があり、突然、激しく燃えだした場合には、効果が得られない場合があります。 また逆に、厚物加工を行っている際は、加工断面の奥深くに酸素を供給し、さらに素材の燃焼を増長する役目を果たしてしまう場合があります。
- 低速で加工していると、加工に時間がかかるため、レーザー加工機の前から離れてしまいがちです。レーザー加工機の前で、加工を監視していたならば、素材が発火した時点で加工を中断し、消火を速やかに行うことができたはずです。 、
※ 上記発生事例とは異なり、5mm程度の板厚のアクリル板を切断しているときに火災が発生した場合もあります。
※ 照り返しを防ぐため、ハニカムテーブルと加工素材の間に隙間を設けていると、切断物の落下具合によっては熱がこもって過熱し、発火する場合があります。
※ アクリル以外の加工素材であっても、火災が発生する可能性はあります。
■ 火災の防止
@ 加工中は、レーザー加工機の前から決して離れない。
A レーザー加工機の傍らに消火器、水を満たしたバケツなどを用意しておく。
B レーザー加工機の周囲には、燃えやすいものを置かない。
C レーザー加工機の前後左右には、人が楽に通行できる程度のスペースを確保する。
D レーザー加工機と天井との空間は2m以上確保し、燃えない建材であることが望まし
い。
また日々のメインテナンス、加工方法も防火の重要な対策になります。
- 取扱説明書に記載された、「保守点検」を行ってください。
- レンズ・ミラーを定期的に清掃することにより、汚れている場合に比べて、より低いレーザー出力で加工が可能です。
- 必要以上に高出力でレーザー加工を行わないでください
(50%程度のレーザー出力でも加工可能であるにもかかわらず、常に100%のレーザー出力で加工し、無駄にパワーを消費している場合など)。
- レーザー出力を抑えることにより、レーザー管の寿命を長くします。
- 素材への単位面積時間辺りの熱量を減らすことにより、素材の発火リスクが低減します。
- レーザーヘッドの固定をしっかりと行ってください。
レンズ清掃後に締まりが弱いと、脱落することがあり危険です。レーザーヘッドが脱落すると、配線、エアーホースにレーザー光が当たり、発火する可能性があります。 - 加工する素材の特性をよく理解しておいてください。
■ RSD-SUNMAXシリーズの防火の取り組み
・火災報知器を同梱しています。(QSシリーズ)
・熱センサおよび火災報知サイレンを内蔵しています。(GSシリーズ・RSシリーズ・RDシリーズ)
注意 : RSD-SUNMAX-LT シリーズは耐火ガラスや熱センサは搭載しておりません。
耐火ガラスは延焼を防止することができますが、しかしそれだけでは完全ではありません。レーザー加工機内部の機器の燃焼により筐体が過熱し、周囲の燃えやすいものに延焼する場合も想定できます。
火災報知器、火災報知サイレンは発火した際に警告するものであり、消火を行うことはできません。
レーザー加工機内部は、難燃性素材を使用しています。しかし、金属類はともかく、ゴム、樹脂などは、素材の発火によって延焼する可能性があることを留意してください。
最も効果的な防火対策です。